あなたの人生にはどんな意味がありますか?
仮にそう質問されたら、あなたならどう答えますか。
ポジティブ心理学を研究するマーティン・セリグマン教授によれば、人生で「何が大切」で、「何が重要」であるのかなど、人生に意味や意義を見出すことが幸福につながると言っています。
この考え方に出会った時、私はちょうど「自分の人生」に深く向き合っているタイミング。それからというもの、自分の人生にはどんな意味があるのか、何を果たして死にたいのか考えるようになりました。
加えて、人生という壮大的なものだけではなく、日頃から「意味のないことなんてない」と思うようになり、目の前に起きる日々の出来事が自分にとって良いことでも悪いことでも、そこに「どんな意味があるのだろう?」と考える癖がつくように。
すると、自分に起きることがまるで奇跡でも起きているような感覚になることが増え、自分自身や他者に、より感謝の気持ちが溢れてくるようになっていきました。
すべてにおいて意味がある
そう心から思う反面、心の片隅には「すべてにおいて意味は必要かな?」という気持ちが入り混じっていることに気がつきます。
なぜなら、どうしても「意味を見出すことに少し苦しさを感じるな」と思うことがあるからです。
なぜモロッコ?なぜそんなに惹かれているの?
私は現在、日本とモロッコの2拠点生活をしています。簡単に説明すると、日本とモロッコの掛橋になりたいという想いがあり、日本人向けの現地ツアーのプランニングや、個人の「自分だけの思い出ができる体験」を叶える旅のサポートを軸に、モロッコの魅力を伝える活動をしているといったところでしょうか。
2020年より猛威を奮っているコロナウィルスの影響で、物理的な活動はストップぜざるを得なくなり、「モロッコのことを知ってもらいたい」「モロッコに触れる機会を作りたい」と、モロッコのことについて話すことや、モロッコ料理を振る舞う会など、今できることを日本で行うようになりました。
そんな中で、決まって聞かれることは、
なぜモロッコ?なぜそんなに惹かれているの?
そんな問いでした。
「モロッコを知ってもらいたい」と思っているのだから、「なぜ?」を聞かれるのは当然のことかもしれません。そのため、自分自身でも「なぜ?」を振り返り、「次に聞かれた時は、こんな話をすれば伝わるかな」「どんな風に伝えるのがいいのだろう」と頭をこねくり回すことが増えました。
自分にとって、モロッコはどんな意味があるのだろうか・・。
ところが、そんな時は決まって、自分の心の片隅からは
ただただ、あの土地に惹かれるから。ただただ、そこにいる自分がとても自然体だから。ただ、モロッコの人たちのあり方が好きだから。
・・・
それだけのこと。理由なんてないんだよなぁ。
そんな本音の感情が聞こえてくるのです。正確に言えば、理由がないのではなく、「人に伝えられるような理由」がないと言うのが本当のところ。
対象は違くとも、あなたも同じように思った経験をしたことがないでしょうか。
純粋な「好き」に理由はなはい
恋愛においても、「好きで好きでしかたない」というよりも「わからないけど何か好き…。」という方が、なんだかんだ長続きするという傾向にあるような気がしています。
もちろん、しいて理由をあげるなら「〇〇だから」と、言葉にすることはできるかもしれませんが、〇〇というのは「人に伝えるための言葉」に置き換えたものであり、心に宿っている感情を正確に伝えることは、すごく難しいのではないかと思っているんですね。
なぜなら、心に宿っている感情とは、何か計算したあげくに出てきている感情ではなく、人間だからこそ湧き出てきた「特別な感情」だから。人間だからこそ宿った、純粋な「好き」の感情には、理由なんていうものなく、そう簡単に言葉にできないのではないでしょうか。
「理由がない」が意味をなす
私にとってモロッコとは、あえて言葉にするならば、関わっていると「不思議とエネルギーが湧いてくる源流」であり、関わり続けることで「好奇心が掻き乱される探究の対象」です。
だから私はモロッコという土地に何度も足を運ぶし、そこでの特別な体験を日本の人たちに還元したい。こうして文章を書くことや、現地で教わったモロッコ料理を振る舞うことなど、’’自分がやっていて楽しい’’と思う表現方法を通して伝えていきたいと思っています。
そして、興味を持ってくれた人たちが実際にモロッコへ行きたいと思ってくれたら、その時は全力でサポートしたい。
みんなと同じものを見る「観光」ではなく、自分だけの思い出ができる「体験」を叶える旅を共につくるためには、私の心に宿っている「理由なき純粋な好き」が、なによりも自分やお客さんにとって、役に立つと信じています!
「理由なき好き」が意味をなす時、それが理由になる。そう思うと、やっぱりこの世の中には、「すべてにおいて意味がある」のかもしれませんね。