フォトジェニックな青い街シェフシャウエン、壮大なサハラ砂漠、エキゾチックなモロッコ雑貨。 今女子旅でも注目されているモロッコ。
1度は行ってみたい!!でも、イスラム圏って日本には全く馴染みがないし、観光客に影響することはあるの?どんなことに気をつければいいの?と不安になる方もいらっしゃいますよね。
過去3回のモロッコ観光でモロッコの魅力にハマり、現在モロッコ旅行をサポートしている私自身も、実は初めてモロッコへ行く時、同じように不安な気持ちになりました。
そこで、この記事では、モロッコにおける基本的な宗教の知識・宗教観や観光時に気を付けるべきことをお話しいたします!
目次
モロッコの宗教はイスラム教
モロッコの国教はイスラム教です。
そのほとんどがスンニ派で、国民の90%以上がイスラム教を信仰しています。
イスラム教には宗派があり、おおまかに2つに分けた宗派が「スンニ派」と「シーア派」です。また、スンニ派がイスラム教徒全体の90%を占めています。
イスラム教は世界で2番目に人口が多い宗教ですが、国教をイスラム教としている国と言っても、国によって決まりや戒律の厳しさは様々です。
早速、モロッコにおけるイスラム教について見ていきましょう!
モロッコにおけるイスラム教。他宗教はタブー?
モロッコは元からイスラム教の国ではなかったんです!そのためか、イスラム教に対する思いは様々です。
かつては北アフリカを中心としたベルベル人という先住民がモロッコの土地で生活していました。
そこへアラブ人がやってきて、イスラーム化していったんですね。
現在のモロッコにおいても、ベルベル人がサハラ砂漠周辺を中心に独自の文化・言葉を使用して生活しています。
私は、モロッコのどこか素朴で独特な雰囲気が大好きなのですが、先住民のベルベル文化とアラブ文化が交じり合ったことにより醸し出されているのではないかと感じています。
かつてはイスラム教を信仰していなかったベルベル人も、現在ではアラブ人同様にイスラム教を信仰していますが、イスラム教そのものに馴染みが無かったためか全体的に個人差がかなりある印象です。
また、モロッコでは憲法により信仰の自由は保障されています。イスラム教・キリスト教・ユダヤ教が平和に共存しているので、モロッコがいかに宗教に寛容な国なのかが伝わるのではないでしょうか。
イスラム教で禁止されていることとは?
イスラム教において、日本では当たり前のように行っている行為が禁止されている場合があります。
知らないことで、思わぬトラブルに巻き込まれてしまう可能性がありますので、旅行を安全に楽しむためにも、イスラム教で禁止されている行為をチェックしておきましょう。
まず、イスラム教で禁止されていることと言えば、アルコールと豚肉です。 これは知っている人も多いのではないでしょうか。
他には、例えば偶像崇拝が禁止されていたり、結婚前の男女交際が禁止されていたりします。
実際に、モスクに「神」や「人物」が描かれることはないですし、モロッコ人のカップルがホテルに宿泊する際には、結婚証明書が必要になるんだそうです。
このように、宗教に寛容な国と言えど、イスラム教徒が大半を占めるモロッコでは宗教が生活に大きな影響を与えています。
モロッコ人の宗教観とは?
モロッコでは独自の宗教観があり、信仰の深さも人によって様々です。 モロッコ人の中にはお酒を飲む人もいれば、20代の若者同士が普通に恋愛をしていることも少なくありません!
ですが、イスラム教の教えでは禁止されているため、公共の場で堂々とお酒を飲んだり、恋愛をしたりしているわけではないんですね。また、イスラム教の教えをものすご~く厳格に守っている人も沢山います。
例えば、イスラム教では1日に5回お祈りをしなければならないのですが、私の友人には熱心にお祈りをしている人もいれば、幼いころはお祈りをしていたけれど、大人になった今はお祈りもしないし、その方が心が休まるんだ!なんて言っている人もいました。
少し極端な例ですが、信仰度合いには個人差があることがわかります。
イスラム教のモロッコの観光で気をつけたいこと
モロッコは、他宗教や他文化に寛容な国のため、イスラム教徒ではない観光客に対しても理解があります。
たとえば、モロッコ人のカップルがホテルに宿泊する際には結婚証明書が必要でしたが、外国人や観光客の場合には結婚していないカップルでも宿泊可能です。
とはいえ、彼ら自身については、他文化の影響を受け入れつつも基本的にはイスラム教の教えや文化を重んじている人がほとんどです!
「必ずこうしなくていけない!」と神経質になる必要はないですが、最低限、現地の宗教や文化、習慣を「尊重する」ということを頭に入れておきましょう。
モロッコでのお酒事情!アルコールは飲める?
イスラム教ではアルコールが禁止されていますが、モロッコでお酒を飲むことは可能です!
観光向けレストランをはじめ、マラケシュやカサブランカなどの観光地ではBARもありますので、お酒を飲む際は、このような場所で飲むことをおすすめします。
私がモロッコ旅行で行ったほとんどのレストランでは、ビールを頼むことができました。
観光向けのホテルのレストランでも、お酒を出しているホテルが沢山あります。
都市部のホテルがほとんどですが、サハラ砂漠などの有名な観光地の周辺ホテルでは、お酒を振舞っているところもあります。
また、スーパーにはお酒を売っているコーナーが設けられています。
ここで注意したいことは、必ずホテルの部屋などで楽しみ、決して路上で飲むようなことはしないようにしましょう。
現地人の前でお酒を飲むことは、 失礼にあたることがありますし、良く思わない人もいます。
私の友人のモロッコ人で、よくお酒を飲んでいる人がいるのですが、自宅以外では決してお酒は飲まないそうです。
旅行中の女性の服装で気をつけたいこと
イスラム教の女性は肌の露出を避けます。
モロッコでも女性はヒジャブ(イスラム教の女性が髪を覆うために使用するスカーフ)を着用しています。
一方で、ヨーロッパの文化の影響もあり、特に大都市では着用しないモロッコ人女性もいますが、全体的には少数派です。
私の個人的な意見ですが、観光客であっても女性は肌の露出が多い服は避けた方が良いと思います。
例えば、胸元の開いた服、透け感のある服、丈の短いスカートやパンツなどは避けた方が無難ですね。
アメリカやヨーロッパからの観光客も多く、露出度の高い服装をしている人も沢山見ましたが、 現地の人の中には『モロッコの国を尊重していない』と、よく思っていない人がいることも事実なんです!
また、肌を露出することはモロッコ人男性を意図せず誘惑することにもなりかねません。イスラム教徒ではない外国人女性が性にオープンであるのは誰もが知っているからです。
モロッコを旅行していると、肌の露出を抑えた服装をされている人達の中に、そうした露出度の高い服装をした外国人がいると目立つなぁと感じることは多々ありました。
日本人の私から見ても気になるのですから、現地の人からすれば、その印象は余計に強くなるでしょう。
相手からして見て、どう見られるか?を考えるだけでも、予期せぬトラブルを回避できますよ!
モスクには入れるの?観光は可能?
イスラム教のモスクは基本的にはイスラム教徒しか入ることができません。 ですが、モロッコで唯一観光客にも開放しているモスクがあります。
そのモスクは ハッサン2世モスクというモスクで、カサブランカに位置しています。
ハッサン2世モスク基本情報
■住所: Boulevard Moulay Youssef, Casablanca
■アクセス: 鉄道カサ・ヴォヤジャー(Casa Voyageurs)駅から車で10分。
■料金:130DH (1,560円 ※1DH=12JPY計算時)
※見学できる時間が決まっています。
AM | PM | |
9月16日~3月14日 土~木 | 9:00 10:00 11:00 | 12:00 15:00 |
9月16日~3月14日 金 | 9:00 10:00 | 15:00 |
3月15日~9月15日 土~木 | 9:00 10:00 11:00 | 14:00 |
3月15日~9月15日 金 | 9:00 10:00 | 14:00 |
→公式サイトhttp://fmh2.ma/fr/
※2021年3月時点では、コロナウィルスにより閉鎖しています。
イスラム教徒にとって、モスクはとても神聖な場所なので、見学する際には肌の露出を避けましょう。
また、必ずスカーフを持っていくことをおすすめします。 イスラム教の教えを尊重するためにも、女性の方は髪の毛を覆うようすると良さそうです。
写真を撮る際に気をつけたいこと
イスラム教徒の中には写真を撮られることを極端に嫌がる人がいます。
なぜならイスラム教では偶像崇拝が禁止されており、自分の姿形が写真であっても、形に残ることを嫌うからです。
例えば、外務省のホームページにはこんなトラブルの例がありました。
『敬虔なイスラム教徒の多い中東で、カラフルなバスを撮影していた男性Cさん。ところが、バスの近くを歩いていた若い女性が「勝手に自分の姿を撮られた」と叫んだため、付近にいた人たちに取り囲まれ、カメラをその場で取り上げられた。』
外務省海外安全ホームページより引用
私もモロッコ旅行で写真を沢山撮りましたが、人が写らないように気を付けていたため、このようなトラブルには遭遇しませんでした。
あまり気にしすぎても楽しめないのでよくないですが、人々をカメラに納めたい場合には、必ず許可をとってから撮りましょう。
ラマダン中の旅行について
イスラム教では、様々な宗教行事があります。
旅行に行ったら、行事と被っていた!なんてこともあるかもしれません。 その中でも観光客に大きく影響する、ラマダンについてお話します。
ラマダンとは?
ラマダンとは、イスラーム暦9月の断食月のことで、この期間イスラム教徒は約1ヶ月の間「サウム」と呼ばれる断食を行います。
断食は自身の信仰心を清める目的があると言われています。そして、飲食だけでなく、喫煙・性行為・喧嘩・悪口などを慎むとされています。
また、貧しい人や飢えた人の気持ちを理解し、共有するという目的もあります。
断食と聞くと、厳しく辛いイメージをする方もいるかと思いますが、イスラム教の行事の中でもお祭りのような行事で、世界中のイスラム教徒が同じ時期に断食を行い連帯感を共有しています。
ラマダンが観光客へ与える影響
ラマダン期間は、観光客にも大きく影響します。
1番大きな影響は多くのレストランが日中は閉まってしまうことです。
もちろん観光地や観光向けのレストランは開いているところもありますし、全ての飲食店が閉まってしまうというわけではありません。また、観光客が断食を強いられることもありません。
ですが、現地の人の前でお酒を飲むのを避けるのと同様に、ラマダン期間のイスラム教徒の目の前で堂々と飲食をするということは避けてください。 また、喫煙も慎んだ方が無難です。
もう1点、気を付けるべきこととして、ラマダン期間は、空腹でイライラしてしまう人がいることです。そのためか、スリや窃盗などをする人も増える傾向にあり、注意が必要です。
普通にモロッコ旅行を楽しみたい!という方は、この期間は避けることをおすすめします。
宗教観を学びたいなど、もし興味がある方は、1年に1度の行事なので、是非チェックしてみて下さい。普段日本にいると、ラマダンの雰囲気は味わうことができないので貴重な体験になります。
2021年はGWにまるかぶりですね…!思い切ってこの期間に行って、断食に挑戦!という旅の仕方もありですよ。笑
まとめ
モロッコでは人それぞれイスラム教に対する思いが違いますが、基本的なイスラム教の教えを重んじている人がほとんどです。
イスラム教について、また、現在の人の宗教観について少しでも理解することで、思わぬトラブルを回避できますし、モロッコの人々を尊重することもできます。
モロッコは基本的に他宗教に寛容です。また、イスラム教の教えにも『旅人をおもてなしする』という教えがあり、とても暖かく迎えてくれます。
もちろん中にはそうでない人もいますが、私自身モロッコ旅行で、現地の人の温かさや、他人を思いやる気持ちに言葉にできないほど感動することもありました。モロッコ人の人柄の良さもモロッコの魅力の1つだと思います。
モロッコとイスラム教の関係を頭に入れておいた上で、安心してモロッコの旅を楽しみましょう!
コメント