北アフリカに位置するモロッコ王国。
モロッコは様々な文化が入り混じるユニークな国であり、その歴史は奥深く、ヨーロッパからの植民地支配を受けるなどの苦い歴史も持ち合わせています。
ところで皆さんは世界遺産に興味はありますか?
実はモロッコは、深く複雑な歴史を持ち合わせている一方で、その歴史の深さからアフリカ大陸の中で最も世界遺産の多い国なのです。
2020年現在モロッコでは、国中の様々な古都や市街がユネスコの世界遺産に登録されており、その数は全9ヶ所。
そこで今回は、モロッコの世界遺産9ヶ所を一挙にご紹介いたします。これから旅行される方のために、各世界遺産の場所や都市の位置関係が分かる地図も公開しています。ぜひご覧ください!
目次
モロッコの世界遺産の一覧表と地図
世界遺産の種類は全部で3種類あり、文化遺産・自然遺産・複合遺産に分けられます。
そして、モロッコの世界遺産はすべて、歴史上・芸術上あるいは学術上で普遍的価値を持つものを対象とした「文化遺産」として登録されています。
モロッコの世界遺産の一覧はこちら!
世界遺産名 | 場所 | 登録年 | |
---|---|---|---|
1 | 古都メクネス | メクネス | 1996 |
2 | ヴォルビリス遺跡 | メクネス | 1997 |
3 | フェズの旧市街 | フェズ | 1981 |
4 | マラケシュの旧市街 | マラケシュ | 1985 |
5 | アイット・ベン・ハッドゥ | ワルザザート | 1987 |
6 | テトゥアンの旧市街(旧称Titawin) | テトゥアン | 1997 |
7 | エッサウィラの旧市街(旧モガドール) | エッサウィラ | 2001 |
8 | ポルトガルマサガン市 | アル・ジャディーダ | 2004 |
9 | ラバト(現代の首都・歴史的な都市:共有遺産) | ラバト | 2012 |
モロッコの世界遺産のほとんどは、都市や旧市街全体が世界遺産として登録されています。
つまり、観光都市であるフェズ・マラケシュ・エッサウィラなどは、街を観光するだけでも世界遺産に触れることができます!
特別足を運ぶとするならば、メクネスの「ヴォルビリス遺跡」とワルザザートの「アイトベンハッドゥ」の2つでしょうか。「メクネス」自体も旧市街が世界遺産に登録されているので、街の観光のついでに遺跡を見に行くというのが良いかもしれません。
各世界遺産の場所と位置関係はこちら!
歴史や世界遺産が好きな方であれば、世界遺産を巡るルートを計画してみるのも良いかもしれませんね!
モロッコの世界遺産を一挙紹介!
それでは、ここからはモロッコの世界遺産を登録年数の古い順に紹介いたします!
古き良き古都「メクネス」
観光都市のフェズから約1時間程の場所に位置する「メクネス」は、モロッコでも有数の歴史深い古都であり、旧市街が1996年に世界遺産として登録されています。
メクネスは11世紀に軍事的開拓地として設立され、かつてのイスラム王朝「アラウィート王朝」の創始者の息子であるスルタン・ムーレイ・イスマエルの治世下で、モロッコの首都として発展してきました。
イスマエルは、ヨーロッパと北アメリカのキリスト教の奴隷を使い、メクネスをスペインのムーア様式の印象的な都市に変えたと言われています。
そのため街中には、大きな壁と扉があるのが特徴で、17世紀のモロッコのイスラム様式とヨーロッパ様式の調和の取れた建築が今日でも見られます。
アクセス:フェズから鉄道で1時間
地図:GoogleMap
観光スポット:旧市街・マンスール門・ブーイナニアマドラサ・エディム広場・ダルジャマイ美術館・ムーレイイスマイルマウソレムなど
フェズから日帰りでメクネスを訪れる方が多いですが、メクネスはそこまで観光地化されていないので、ゆっくり生活感を味わいたい人には滞在してみるのもおすすめです!
ローマ帝国時代の残像「ヴォルビリス遺跡」
メクネス付近のヴォルビリスという都市に位置する「ヴォルビリス遺跡」は、モロッコにある古代遺跡で、1997年に世界遺産に登録されています。
この都市は、先住民ベルベル人によって発掘された都市であるものの、ローマ帝国の支配下により急速に発展していきました。
その際に建てられた大規模な建築物がヴォルビリス遺跡と名付けられ、現在もローマ時代の形跡が残る貴重な古代遺跡となっています。
アクセス:メクネス市よりグランタクシーを利用(公共交通機関なし)
地図:GoogleMap
ローマ帝国の形跡は、モロッコに限らずヨーロッパや中近東でも多く見られます。当時のローマ帝国の威力は絶大だったことが分かりますね!
かつてのイスラム王朝の首都「フェスの旧市街」
モロッコの北東部に位置する「フェス」は、かつてのイスラム王朝の首都でもあったとされており、旧市街が1981年に世界遺産に登録されています。
その旧市街は、「フェズ・エル・バリ」と「フェズ・エル・ジェディド」の2つに分かれており、1度迷い込んだら戻ってこれないと言われるほどの入り組んだ「迷宮の都市」として知られています。
フェズには、世界に現存する最古の教育機関があるほか、職人の街として発展してきた歴史あり、学問・文化・芸術の基盤として現在でも多くの人が訪れます。
そんなフェズの旧市街では、工芸品や皮なめしなどを手作業で行うモロッコの貴重な伝統文化を見学することが可能です。
アクセス:マラケシュから鉄道で10時間・シェフシャウエンからバスで5時間
地図:GoogleMap
観光スポット:旧市街・皮なめし工場(タンネリ)・ブージュルード門・カラウィーンモスク・ブーイナニアマドラサ(神学校)など
フェスの旧市街は絶対に迷います!(笑)一度迷い混んだら戻ってこれないかも!?
歴史を通して再構築され続けた「マラケシュの旧市街」
実は、モロッコの最大観光都市である「マラケシュ」も、旧市街が1981年に世界遺産に登録されています。
かつてのイスラム王朝「ムラービト朝」の時代に都市化されたマラケシュは、当時モスクなどの様々な建造物が建てられたましたが、そのほとんどが取り壊されており、その後の王朝が変わるごとに建造物が繰り返し壊され、新たに作られてきました。
この様々な時代の建造物が作り上げた現在のマラケシュの旧市街が、貴重な歴史的建造物が豊富であるとして、世界遺産に認められたのです。
多くの観光客が訪れるマラケシュは、そんな歴史のあるメディナ(旧市街)と個性的な広場であるジャマエルフナ広場の存在感が、多くの人々を魅了し続けています。
アクセス:カサブランカから鉄道で3時間
地図:GoogleMap
観光スポット:シャマエルフナ市場・バヒア宮殿・エルバディ宮殿・サアド朝の墳墓群・ベルアベ陵・アグダル庭園・アリーブンユースフマドラサなど
初めてのモロッコ旅行では、マラケシュの建造物よりもジャマエルフナでのお買い物に夢中でした…笑
城砦や邸宅の代表的な集落「アイトベンハッドゥ」
ワルザザート近郊に位置する「アイトベンハッドゥ」は、主に防衛を目的として作られたカスバ(城砦や邸宅)の代表的な集落で、1987年に世界遺産に登録されています。
マラケシュとサハラ砂漠を結ぶ道中には、このカスバが多く点在しています。そして、このアイトベンハッドゥは当時特に有力であったハドゥ一族という先住民族が築いたと言われおり、中でも一際目立つ存在となっています。
防衛を目的として作られたアイトベンハッドゥは、敵の侵入を防ぐため、集落への入口は一つしかなく、通路は入り組んだ構造となっています。
城砦のイメージとは裏腹に、アイトベンハッドゥの壮大で美しい姿は人々を魅了し、様々なハリウッド映画のロケ地に使用されているほか、多くの観光客が訪れる観光名所となっています。
アイトベンハッドゥについては、こちらの記事でも詳しく紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください!
アクセス:ワルザザートからタクシーで30分
地図:GoogleMap
アイトベンハッドゥの頂上から眺める景色は圧巻です!ぜひ頂上に登ってみてくださいね♪
主要な港「テトゥアンの旧市街」(旧称Titawin)
モロッコの北端に位置する「テトゥアン」は、地中海に面したモロッコの主要な港のうちの1つとして発展した都市で、1997年に世界遺産に登録されています。
かつてスペインの保護領の首都として定められたテトゥアンは、スペイン統治時代から再建まで、非常に奥深い歴史を持った都市です。
それゆえ、テトゥアンには、スペインのアンダルシア出身のイスラム教徒とユダヤ教徒が定住することで繁栄した経緯があり、地元のベルベル人とアンダルシア人の影響を受けた豊かな伝統料理があるなど、有名な多文化の中心地といった面もあります。
ヨーロッパの影響を受けた「白を基調とした建物」が街の景観を美しく彩り、伝統的な職人技が集中する旧市街は世界遺産に登録されていながらも、さほど観光地化していないのが特徴で、自然体なモロッコの雰囲気が感じられます。
アクセス:シェフシャウエンからバスで1時間30分
地図:GoogleMap
観光スポット:旧市街・バブムカバル・テトゥアン王宮・テトゥアン現代美術センターなど
あまり観光地化してないモロッコの沿岸の都市も、訪れてみるとまた違った雰囲気が楽しめますよ!
城塞都市「エッサウィラの旧市街」(旧モガドール)
マラケシュからバスで3時間程の海沿いに位置する港町「エッサウィラ」は、城壁でグルリと取り囲まれた城塞都市として発達し、2001年に世界遺産に登録されています。
この旧市街は、ヨーロッパの影響を受けた青と白を基調とした街並みが特徴で、芸術家の交流の場となっていたことから、芸術の街として海外の芸術家からも支持されています。
かつてポルトガル人の交易の足場として使用された港には、スカラという城塞が残されており、歴史を感じさせる面がある一方で、現代のエッサウィラの街はヨーロッパの建築家の指揮の元、近代的な要塞都市としてモロッコにより建設されています。
それほど観光地化されていいないエッサウィラの街は、穏やかな雰囲気が漂い、新鮮な海鮮が食べられるうえに、オシャレなカフェも立ち並ぶ穴場的スポットとなっています。
エッサウィラについては、こちらの記事でも詳しく紹介していますので、参考にしてください!
アクセス:マラケシュからバスで3時間
地図:GoogleMap
観光スポット:旧市街・城塞の展望台・漁港・ビーチ
エッサウィラは、フレッシュな魚が激安!そのまま調理して食すのも良し、海鮮タジンを試してみるのも良しです!
ポルトガル要塞都市「マサガン」(アル・ジャディーダ)
アル・ジャディーダというエッサウィラよりさらに北の海沿いに位置する「マサガン」は、かつてのポルトガル要塞都市で、2004年に世界遺産に登録されました。
湾岸全体が城塞であるマサガンには、モロッコ沿岸の一部を占領していたポルトガル人によって大きな要塞が建設されました。また、ルネサンスにおける近代的な大砲の開発から、要塞の上には数多くの大砲が置かれています。
城塞の多くはアラブの攻撃によって破壊されたものの再建を果たし、都市は「新しいもの」を意味する「アル・ジャディーダ」と名付けられ今に至ります。
武器庫として造られた地下貯水槽や、ポルトガル様式で建てられた教会が歴史的価値のある建造物として今も街中に残されています。
アクセス:カサブランカから鉄道で1時間30分・バスで2時間
地図:GoogleMap
観光スポット:ポルトガルの水槽・大砲と要塞・古い港
アル・ジャディーダは滞在先としてマイナーな都市ですが、隣接街のSidi Bouzid(シディブジッド)は、知る人ぞ知るリゾート地なんですよ!
歴史的都市と近代的首都の共有遺産「ラバト」
モロッコの首都である「ラバト」は、アル・ジャディーダよりさらに北の大西洋に面して位置しており、歴史的都市と近代的首都が共存する都市として、2012年に世界遺産に登録さてれいます。
世界遺産に登録されているほとんどの街が旧市街であるのに対し、ラバトでは旧市街と新市街の両方が登録された珍しいケースとなっています。
ラバトは、12世紀のイスラム王朝である「ムワッヒド朝」の支配者アブドアルムーミンによって軍の町として設立されました。その後ラバトがフランスの保護領となると、行政の中心地はフェズからラバトに移され、新都市として開発が進みます。
1955年にモロッコが独立した後も、ラバトは継続して首都と定められ、旧市街と新市街が共存する世界遺産の都市としてモロッコ王国の重要な役割を担う中心地となりました。
現在のラバトには、ヨーロッパとアラブの雰囲気が混じり合うユニークな雰囲気が残されるほか、モロッコの王宮をはじめ、政治に関する重要な施設が集まっています。
アクセス:カサブランカから鉄道で1時間
地図:GoogleMap
観光スポット:ハッサンタワー・アンダルシアンガーデンズ・ムハンマド5世廟・ウダイヤのカスバ・モロッコの王宮
モロッコでラバトは、アラビア語で「白い家」を意味する「ダール・ベイダ」と呼ばれるんですよ!実際に、街には白い建物がたくさん!
まとめ
モロッコでは、古都や市街の全9ヶ所がユネスコの世界遺産に登録されており、そのほとんどの世界遺産は、モロッコにおける様々な歴史を通して築かれた、貴重な産物となっています。
特に、フェズ・マラケシュ・エッサウィラは有名なの観光都市でもありますので、是非足を運んでみてください。
また、世界遺産に登録された街に限らず、それぞれの街で見せる顔が全く違うのも、モロッコのユニークで面白いところです。
そのため、モロッコ旅行では、時間の許す限り様々な街を訪れてみてくださいね!
モロッコのおすすめのモデルコースも別の記事で解説していますので、参考にしてください。
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